いなにわうどん

うどんの話に見せかけて技術的な話をしたい(できない)

雙峰祭でそば焼いたらやきそばになってワロタ

本記事は、mast Advent Calendar 2023*1 の 23 日目の記事です。22 日目はびきさんの記事「こういうところ、好き!|びき」でした。横浜近辺のエモい写真が沢山出てくるので必読です。彼はめちゃくちゃ良い写真を撮るな〜と一年次の頃から思っていて、気が付けば自分も富士フイルムのカメラをポチっていました。

 

年の瀬ですね。こんにちは、いなにわうどんです。突然ですが、今年の 11 月 3, 4 日に開催された筑波大学学園祭「雙峰祭」にて、私は有志団体として模擬店「驚額の殿堂」を出店し、友人らとやきそばを調理して 150 円で販売しました。

企画を実施するにあたって、我々は「美味しいやきそばを焼いて、とにかく安く売ること」を第一の目標に定めて準備を進めてきました。その結果、当日は大盛況のうちに幕を閉じ、目標は十分に達成されたと思います。本記事では、雙峰祭にやきそば屋を出店するまでの経緯や準備過程、当日の様子、得られた反響などを企画代表者の視点からお伝えしていきます。

雙峰祭で廉売、やりたい

経緯は昨年にまで遡ります。私は昨年度まで学園祭実行委員として Web サイトの開発に回っていたのですが、2 年次で引退を迎えて特にやることもなくなっため、来年の雙峰祭では企画実施側(模擬店を出す側)に回りたい、それも一般的な企画ではなく、何か特色のある企画を実施したいと考えていました。そこで思い浮かんだのが廉売*2です。

「廉売」を辞書で引くと、以下の定義が見当たりました。廉売という語は単に「物を安く売ること」を表しており、その言葉自体にネガティブな意味は含まれません。

れんばい【廉売】
[名](スル)商品を安い値段で売ること。安売り。「傷物を—する」「特価大—」
出典:デジタル大辞泉小学館

以降、折に触れて「今年は廉売をしたいよね」「時代は廉売」などと復唱を重ねていくうちに一同もすっかり乗り気となったため、有志団体として企画を実施することになりました。その後、代表者と副代表者をじゃんけんで決め、SOS(雙峰祭オンラインシステム)上から企画申請を行いました。申請時点での企画参加人数は 15 人で、当日の実働は 13 人程度でした。

コンセプト

企画の実施にあたっては、以下の点を強く意識しました。

  • 廉売:儲けを追求せず、とにかく安く!
  • コスト削減による合理化
  • 焼きそばは楽しいから焼くの!*3という精神(重要)

販売品目は学園祭っぽい、価格破壊感が出やすい(ポップコーンを 100 円で売っても人々は安さを感じない)等の理由から程なくやきそばに決定しました。やきそば、焼いていき――

計画―事前準備

計画や準備は基本 Discord 上で進めつつ、適宜「廉売会議」と称して対面で打ち合わせをしました。対面で話すと大いに盛り上がるので、同じ空間に集まるのは甚だ重要だと思います。よく学園西大通り沿いのデニー*4に行きました。

雙峰祭までの大まかなスケジュールを以下に記載します。(▶ で開閉)

スケジュール一覧
5/2 廉売の話の初出
5/8 責任者・副責任者が決まる、SOS 上での申請
5/11 廉売会議 1デニーズ 筑波学園都市店
5/20 くらい んぽたその出現
6/6 第 1 回 企団連
6/12 廉売会議 2 @中央図書館 セミナー室
7/12 食品衛生講習会
7/30 やきそばトライアル
8/19 会場配置の確定
8/31 電力、備品、看板、ガス関連物品締め切り
10/1 廉売会議 3デニーズ 筑波学園都市店
10/11 検便提出
10/16 廉売会議 4 @ジョイフル つくば桜店
10/18 材料発注
10/21 企団給受け取り
10/29 看板配布
11/3 前日準備・前夜祭
11/4, 5 本祭当日

企画名「驚額の殿堂」

廉売の代表格といえばドンキじゃない?といった印象が強かったため、ドン・キホーテのイメージを終始思い浮かべていました。ただ「驚安(キョウヤス)」「驚安の殿堂」「激安の殿堂」は既に商標登録済みでコンプライアンス的に渋かったため、そこからもじって「驚額キョウガクの殿堂」を企画名とすることにしました。

また、我々は有志団体であり名称が存在しないため、団体名も案出する必要があります。これを最近話題の ChatGPT に問い合わせたところ「やきそばマイスター」なる候補が。焼きそばをほとんど作ったことない人間*5がマイスターを名乗ったら面白いし、やきそば企画が頓挫してマイスターが別のものを売り始めてもそれはそれで展開として良いよね、ということで団体名は「やきそばマイスター*6」に決定しました。

やきそばトライアル

7 月下旬、酷暑の最中に豊里ゆかりの森のバーベキュー場に赴き、懇親会も兼ねて焼きそばの事前演習を行いました。夏休みに入ると人が集まりにくくなるので春 C あたりが狙い目です。やきそばトライアルの主な目的は次の通りです。

  • やきそばの材料を物色*7して当日使う食材にざっとあたりを付ける
  • 調理工程の大まかなイメージを掴む

その結果、ブルドッグのソースはトマト味っぽい、オタフクソースは少し値が張るが美味しい、といった知見が得られました。インターネットだけでは得られない知識です。

やきそばおいしそう!

価格設定

前述の通り、安く売ることを第一の目的としていたため、価格設定は慎重に行いました。決定に際しては、過去の雙峰祭ややどかり祭、一般的な屋台・模擬店での価格を参考にしながら、価格のインパクトと、赤字をギリギリ出さないラインの均衡を取った次第です。最悪赤字が出たら夏にパソカタで得たお金で賄おう*8と考えていました。

以下の 4 つの価格を検討し、最終的に 150 円に落ち着きました。

  • 50 円:赤字すぎるので却下
  • 99 円:2 桁のインパクトは強い。かなり有力な候補だったが、予算との折り合いで却下(お釣りとして 1 円玉を渡すことで、残った 1 円玉の数で売上管理を実現する合理的なシステムだった)
  • 100 円:同上
  • 150 円:ギリギリ赤字が出ないラインで訴求力も高い。ちょうど筑波大学も創基 151 周年だし良いのでは?ということで決定
  • 200 円:ちょっと高いかなあ

また、情報はオープンであるべきだよねと言って、原価*9損益分岐点Web 上で公開する一風変わった試みも行いました。これが思わぬ展開(後述)を引き起こすこととなります。当初の試算では原価は 122.9 円でした。

杯数設定

同様に販売数の設定も重要です。最初出た案では 2,000 杯売れたら凄くね??などと話していましたが、1,500 → 1,000 と下げていき、最終的に現実的なラインとして 600 杯に落ち着きました*10。決定プロセスは以下の通りです。

  • 初年度であり、どの程度売れるかが見込みがつかない
  • 完全にボランティアの有志団体*11であり、実働の人員がどの程度確保できるかが不明。体力の問題もある
  • スペースが狭く、一度に調理できる杯数が限られている
    • 1 サイクルで、鉄板で同時に焼ける枚数は 7 パック分程度
    • 1 回焼くのに 8 分と想定 → 1 時間あたり 7 サイクル
    • 企画実施時間は 1 日目:10:00–20:00、2 日目:10:00–18:00 の 18時間
    • 1 時間あたりに 7 杯 × 7 回 = 49 ≒ 50 杯
    • 50 杯 × 18 時間 = 上限が 900 杯
  • 雨天だった場合はそもそも企画中止だが?

広報

学園祭という場は大した広報をしなくても盛り上がるものですが、それはそうと広報を頑張っていくことにしました(楽しいので)。アドバルーンサブリミナル効果など様々な宣伝案を経て、最終的に ①ポスター・看板、② キャラクター、③ Web サイト・SNS の 3 つの手段に集約されました。

個人的に広報面はかなり成功だったのでは?と思っていて、現実世界でも「あ、焼きそば応援してます!」みたいなことを言われる機会が増えました。

ポスター・看板

slimalized 氏がポスターと看板を制作してくれました! ドンキのポップを彷彿とさせるような目立つデザインをお願いしたところ、想像以上にセンスの良いものを作っていただいて大大大感謝です。当日も看板の写真を撮影していく方が多数目立ったほか、ポスターを見て列に並んでくださった来場者の方も多かったようでした*12

看板はひっそりと coins ラウンジに安置されている
んぽたその登場

定積氏がオリジナルキャラクター「んぽたそ」を考案してくれました! 奇遇なことに筑波山にも似た妖精が住んでいましたが、単なる偶然だと思います。また、定積氏やヒマラヤ氏が「やきそばの歌」やサウンドロゴ等の音声素材も作ってくれました。クリエイティビティがありますね〜

んぽたそは 11 月の時点で既にメリクリを予見しており、先見の明がある

1990 年代風Web サイト

Web サイトは私が担当しました。我々はゼロ年代の古のインターネットへの憧れを共有する Z 世代であるため、HTML 手打ち風(というか本当に手打ち)のサイトに仕上げてみました。謎のチャットボット機能を付けたところ 1 日で OpenAI に 7 ドル課金する羽目に*13……

soudakyoto-ikou.hatenadiary.jp

タテカンの夢、叶わず

「学生生活で一度くらいはタテカン*14建ててみたいよね」ということで学生生活課にメールで問い合わせ、実際に公式の手順を踏んで立て看板の申請*15を行ってみたのですが、以下の丁重なお返事をいただき、夢敗れる結果となりました。

標記の件、確認させていただいたところ、学園祭各企画にかかる大看板設置(学園祭にかかるカウントダウン看板や自転車撤去等運営に必要な看板は除く)につきましては、一律お認めはせず、屋外の掲示については、学園祭実行委員会にて設置されている特設掲示板のみとしますので、恐れ入りますが、ご協力いただけますと幸いです。

会場配置

雙峰祭では、企画申請時に出店を希望するエリアを選択することができます。我々は屋外の第三エリア周辺を希望していましたが、当初配置されたエリアは体芸エリアの 5C 棟周辺でした。

そしてこの 5C 棟、5 店以上もやきそば屋が密集する激戦区でした。これでは来場者を奪い合う展開が予想され、企画運営上望ましくないのでは?とメールを差し上げたところ、「保健所の指導により生肉や生魚の仕込みを行う場合は体芸エリアに配置せざるを得ない、生肉等の仕込みが不要であれば本学周辺に移せる」との回答をいただいたため、豚こま肉を使うことで生肉の仕込みを省略する旨をお伝えし、最終的に石の広場周辺に配置される運びとなりました。UNITED ステージ*16の真正面で、かなりの目抜き通りの好立地です。

申請周り

雙峰祭で企画を実施するには、機材やガス、電力等々に関して数多の申請を行う必要があります。昨年度まではコロナ禍で屋外企画が制限されていたこともあって、ガス等の扱いに関する知見が乏しく、申請周りはかなり苦慮した点でもあります。

GitHub の Issues 上でタスク管理を行った

なお、雙峰祭で企画団体が使用する機材には、学実委*17が無償で貸与してくれる備品、有償で借用する機材、自前で用意する必要がある機材の 3 種類が存在します。例えばやきそばの調理にはガス、鉄板、フライパン等が必要ですが、この場合、ガスコンロや空気調節器は無償、ガスボンベ・ホースは有償、鉄板は業者から有償貸与、カセットコンロ・フライパンは自前で用意といった具合に分かれます。

  • 我々が用意したもの
    食材、調理器具(フライパン・包丁等)、文房具、消耗品、カセットコンロ、ポリタンク、バケツ、ハンドソープ等
  • 学実委が無償で支給/貸与してくれるもの
    テント、机・椅子、電気(電ドラ)、水道、コピー用紙、看板、ガスコンロ、空気調節器、コンクリートブロック
  • 学実委が有償で貸与してくれるもの
    ガスボンベ、ガスホース
  • 学実委が斡旋する業者が貸与してくれるもの
    鉄板等

前日準備

時は流れ、雙峰祭が明日に迫ってきました! 最高気温は 25 ℃ を越え、11 月とは考え難い夏日でした。

雙峰祭はじまる

雙峰祭では本祭前日の朝から準備を行うことができます。前日準備では ① 会場設営、② 材料調達 の 2 手に分かれて作業を進めました。会場設営に関しては、ある程度は事前に配置等を検討していたものの、結局のところは現地に行ってみないと分からないことも多かったです。

定積氏による会場図解

材料調達

業務スーパー、タイヨー、トライアル、コーナンを車で回って食材・機材・消耗品を調達しました。事前申請の時点で食材の調達先リストを提出する必要があるため、近隣のスーパーを網羅しておくと突発的な買い足しにも対応できます。トレー・フライパン・カセットコンロ等に関しては各々の私物を持ち寄って賄いました。

なお、突発的にスーパーに出向いても食材を確保できる保障はないため、大量の食材を調達する場合は事前に発注を掛けておくのが賢明です。我々は 2 週間半前の 10 月 18 日 の時点で業務スーパー つくば学園の森店を訪れ、やきそば用麺 78 kg豚こま肉 9 kgソース 10 本、油、パック、割り箸等を発注しました。大量発注には覚悟が要ります。キャベツは事前に発注していなかったため、適当なスーパーでひとまず 10 玉を購入しました。

店内注目度 No.1(周囲の人にジロジロ見られた)

看板製作

看板データを学内某所のプリンタで A3 用紙 16 枚に分けて印刷し、裁断したのち張り合わせていきました。裁断機があると便利です。

当日

いよいよ雙峰祭当日です! 当日は朝 8:30 頃に集合して会場設営*18を行い、10:30 頃から販売を開始しました。調理(4–6人)、会計(1–2 人)、列整備(2–3 人)に役割を分担して、ローテーションを組みながら進めていきます。私は列整備を主に担当していました*19

休みなきシフト

会計担当は金銭授受に加えて、やきそばが完成するまでの間、来場者の方と雑談をして間を繋ぐ必要があり、コミュ力、すげ〜〜という感想を抱きました。雙峰祭グランプリ*20への投票のお願いなどもナチュラルに行っており、その巧みな話術には思わず舌を巻きました。また、会計担当が手元のスマホで売上を計上する毎に、現時点での売上杯数が Web 上に公開されていく仕掛けも取り入れました。

調理

調理部隊では、鉄板・フライパン × 2・トレーを使用し、以下の工程が手際よく分担して進められていました*21。テント内では最終加熱以外の調理は許可されないため、キャベツを切る工程は朝のうちに別途 5C 棟に用意された仕込み場で行いました。

1. 鉄板に麺を乗せ、水を掛けてほぐす。麺に火が通るまで加熱する
2. フライパンで肉・野菜を加熱する
3. フライパンに麺・肉・野菜を入れ、ソースを混ぜ合わせる
4. 出来たやきそばをトレーに退避し、パック詰めして鰹節を乗せる

当日のようす:大盛況の初日

10:30 頃から販売を開始すると、早くも列が出現します。

時間を追う毎に来場者はますます増加し、お昼時には 1 時間を越える長蛇の待ち行列*22が誕生していました*23。以降も無限に列は増え続け、遂には 4 列体制でも捌ききれず、人間系学系 A 棟の壁に到達する破竹の勢いでした。

こうした大盛況の様子には嬉しい悲鳴でしたが、調理側の処理能力*24をあまりに超過していたことや、通行の妨げになる状況も踏まえて、忸怩たる思いながら途中で受付を中止することもありました*25

列整備も予想以上に大変でした。適切な整列を挟まないと人々の列はどんどんと横方向に広がってしまいます。しかしながら雙峰祭の規約上、三角コーン等を設置することは許可されていないため、列整備の担当にビニール紐を括り付けるなどの工夫を重ねていきました*26

初日、終了

その後も焼きそばを作っては売り、作っては売り……を繰り返して慌ただしく動いている間に日も落ちてきました。企画実施時間は 20:00 まででしたが、18:30 頃には既に 2 日分として用意した肉やキャベツの大半を消費してしまったことから、相談の上、初日の販売はここで中断する判断を下しました。オタクはサービス精神が豊富であり、事前の想定以上に具材を多く載せたことが要因と考えられます*27

こうして409 杯の売上*28を達成し、無事に雙峰祭初日が終了しました*29

当日のようす:2 日目

キャベツ 5 玉、豚こま肉 6 kg を新たに調達して万全の体制で 2 日目に挑みました。材料調達中に友人の車が故障するなどのトラブルにも見舞われましたが、10:30 頃には無事に販売を開始できました。

2 日目は最初に調達した麺を全て調理しきった段階で終了、と明確な基準を設けていました。初日と比較してオペレーションが改善されたことや、始めから列制限を慎重に設けたことなどが功を奏して、初日ほどの行列には至りませんでした*30。順調に売り進めた結果、13:00 頃には残り 30 杯程度と目処が立ち、13 時 32 分に 656 杯で無事完売しました!!

折角のお祭りなので、完売を知らせるバルーンやポスターを堂々と掲示してお祭り気分を演出。通りゆく人々が「完売だって……」と言いながら通り過ぎていく様子が印象的でした

個人的な話をすると、大学同期や後輩、高校の友人、Twitter の FF なども訪れてくれて嬉しかったです。気付いたら Swarm のチェックポイントも作られていてワロタという感じでした。

売上杯数の推移。1時間あたりに調理可能な杯数はやはり 50 杯程度が限度?

収支

こうして大盛況のうちに幕を閉じた今回の 150 円やきそば、気になるその収支は…… +7,101 円 で無事黒字となりました*31!!

一杯あたりの利益は 10.82 円、原価率にして 92.78 % でした。当初の試算では 2 万円程度プラスになる予定でしたが、直前に機材を買い足したり、前述の通り材料不足に陥ったりもしたため、予想以上に原価が跳ね上がったことが原因と予想されます。大まかな収支を下記の表に示します。

金額 品目
+ 104,991 売上
+ 2,840 余った食材等のうち、必要な物品を任意で買い取った代金
− 58,112 材料代
– 16,414 機材レンタル代
– 11,085 その他機材・消耗品代
− 5,578 カーシェア代
– 1,665 雙峰祭の企画実施に係る費用
– 7,510 検便代
– 770 両替手数料

議論

今回の雙峰祭関連で印象に残ったことの一つとして、Web サイトを公開してから数日後に、大学界隈の Twitter 上で話題に登っていたことがありました。「150 円でやきそばを売ることは不当廉売(ダンピング)なのか?」を軸として、観測可能な範囲でも 100 件を越える言及が見受けられました。TL 上で目撃されたツイートを以下にいくつか引用します。

  • 150円で焼きそば売る団体あんの? 勘弁してよ ダンピングじゃん
  • ・原価を割っていないため、ミリだけど利益が上がる ・人件費に関しては学祭なので意識しない と考えるとギリギリダンピングではないのでは
  • 学園祭では多少赤字が出ようとも思い出を残す方を選ぶ店が多いと思ってた
  • 高額な利益が出るような値段設定もそれはそれで……なので原価割れしない範囲で安く作って安く売る分には問題ないのでは?1つの店で作れる量にも限りはあるだろうし。
  • そうか、原価公開って利益を割るほどの値段で売ってないですよって声明して先回りする側面もあるのか……
  • 150円焼きそば、安いしおもろいけどどうせめちゃくちゃ混むのでバランスが取れている
  • さまざまなお気持ちが喚起されてニコニコしてる 熟議の末にみんなが納得できる雙峰祭文化をつくっていけばいいと思う
  • 学祭で利益を追求するのも別に問題ないと思うけど、学祭を楽しみたくて利益度外視の価格設定をしてる他団体に文句言うのは違うよな。
  • 激安焼きそばに対してキレているフォロワーさんもいれば、そうでもないフォロワーさんもいる

出典:Twitter

不当廉売にはあたらない

ここで個人的な見解を表明しておくと、確かに我々はやきそばを安く売ること(廉売)を目的としましたが、不当廉売には当たらないと考えています。定義を確認すると、不当廉売とは以下の 3 条件を全て満たす行為を指し示すとされています。

1. 継続して販売される商品やサービスの価格が総販売原価を著しく下回っていること
2. ほかの事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあること
3. 正当な理由がないこと
出典:https://www.takt-tax.com/news/?mode=detail&article=93

一般的な模擬店や屋台の水準と比較すると、確かに150 円やきそばが 150–300 円程度安かったことは事実ですが、① 元々原価を割る想定ではなく、最終的にも割っていないこと ② 学園祭という限られた空間で販売数も限定的であったため、他団体も十分に繁盛していたこと ③ 学園祭はそもそも利潤を追求する場ではないこと から、以上の条件を満たすものではないと考えられます。

我々が雙峰祭でやきそばを販売した背景には、食品を安価で提供した際に、人々からどのような反応が得られるかを観察することが一つの目的として存在しました。したがって、このように雙峰祭に関連した議論が巻き起こることは健全であり、かなり期待通りの反応が得られたと感じています。

むすびにかえて

最後に、当日の反響をいくつか抜粋します。

現地でも「美味しかったです〜」「とても安いですね」「どうしてこんなに安いんですか?」等と声を掛けて頂く機会が多々ありました。雙峰祭で企画を実施するには半年前から準備を進める必要があり、色々と手間が掛かる部分も多かったですが、こうして様々な方に喜んでいただけたなら感無量です。

また手前味噌ですが、自分達で焼いたやきそばは想像以上に美味しく、これを 150 円で売ることができたのは一重に企業努力*32あっての成果だと感じています。最後になりましたが、企画実施にあたってご協力いただいたすべてのみなさんに感謝を申し上げて、本記事の結びに代えたいと思います。本当にありがとうございました!!

*1:今年度は プログラミング教育コーヒー生死判定ヤニ学会発表など、様々なジャンルのおもしろ記事が集まりました

*2:何人かのフォロワーは今年になっても以下のツイートを憶えていたようで、記憶力の良さに驚嘆

*3:「野菜食べててえらい」と言われブチギレるホリエモン - ニコニコ動画

*4:実はジョイフルの方が安いことに途中で気が付いた

*5:カップやきそば以外のやきそばを焼いたことが人生で一度もなかった

*6:平仮名の「やきそば」がポイント

*7:買い出しは主に業務スーパーとトライアルで済ませました

*8:https://twitter.com/kyoto_inaniwa/status/1718877368251756738

*9:ここでは材料費 + 製造経費(機材費)等を原価と定義します。当然ながら人件費は含まれません

*10:盛清六で激論が繰り広げられた

*11:サークル等ではない

*12:列に並ぶ人で店頭の看板は隠れてしまうため、高い位置に貼ってあったポスターのほうがよく目に入ったっぽい

*13:自腹

*14:ここで言及する立て看板とは、店頭に立て掛ける看板ではなく 1A 棟周辺や中央図書館前に(雙峰祭前から)掲示されている看板を指します

*15:看板の掲示期間は行事を含む前後一週間と定められており、掲示の数日前には書類を提出する必要があります。書類の認可をもって始めて看板の掲出が可能となります

*16:ミスコンとかをやってるメインステージ

*17:学園祭実行委員会の略称

*18:11 月の朝は霧が凄く、看板や紙類を屋外に放置すると湿気てしまうため注意が必要

*19:自炊ができない非行少年

*20:惜しかった

*21:前日準備で疲れて爆睡(前夜は徹夜で雙峰祭 Web のお手伝いをしていたので……)している間に当日の調理工程が決められていて爆助かりでした

*22:キュー

*23:コミケの壁サー?

*24:鉄板が 1 スレッドしか存在せず、どれだけ頑張ってもこれ以上は捌けない状態でした

*25:友人が取っていた手法として、率直に待ち時間(40 分等)を伝えると 2/3 程度の人は「じゃあ諦めます……」と回答するという現象があり、上手なコミュニケーションであると感じました

*26:コミケの列整備はやっぱり凄い…… あの整然とした列は運営側の手際の良さも然ることながら、来場者側の共通認識も必須条件なのだと思いました。コミケではお馴染みの光景である「列通ります」「はいここまで手挙げて」といった概念は一般の人には伝わらないことを痛感しました

*27:でも具材は多いほうが嬉しいのでオーケー!

*28:Twitter上 では 365 杯と表記されていましたが、諸々の誤差があるためこちらの値が正確です

*29:帰宅する気力もなく三学の適当な部屋で仮眠を取ったら翌朝になっていた

*30:学園祭来て焼きそば買ったら終わっちゃったら嫌だよね〜という気持ちはあった

*31:656 杯の中には検食に回した分や自分達で消化した分、差し入れ分等も含むため、微妙に計算が合わない部分があることをご理解ください

*32:企業ではなく、オタク達の努力である